【こんな症例も治りますシリーズ 815】『 何度も繰り返す血便…原因は“見えない細菌”でした 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上の写真は、青い棒状の菌がクロストリジウム・パーフリーゲンスですが、拡大すると本当は青く染色されない部分の『芽胞』が見れるはずです。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/XObjX

 

猫 ミックス猫 2歳 メス(避妊手術済)

 

 

◆◆ 【 血便を繰り返す 】 とのことで来院されました。

 

 

 

■■ 来院までの経過

 

 

■ 飼い主様のお話では、

 

・ よく血便をする

・ かかりつけの動物病院で 糞便検査をしても異常なし

・ 整腸剤などで一時的に良くなる

・ でも すぐに再発してしまう

という状態を繰り返していたとのことでした。

 

 

 

■ 元気や食欲はあるものの、『なぜ血便を繰り返すのか分からない』という点が一番の不安でした。

 

 

 

◆◆ 当院での検査

 

■ 当院でもまずは 糞便検査 を実施しました。

・ 寄生虫なし

・ 明らかな異常所見なし

 

 

一見すると「問題なさそう」に見える結果でした。

 

 

 

◆◆ 糞便検査の落とし穴

 

■ 実は、通常の糞便検査で見ているのは

排泄された便の“ごく一部” にすぎません。

 

 

■ また、

・ 細菌が本当に悪さをしているか

・ どの細菌が原因なのか

といったことは、

顕微鏡で見ただけでは判断できない 場合も多くあります。

 

 

 

■ そこで今回は、

より詳しく調べるために PCR検査 を行いました。

 

 

■ PCR検査とは?

 

 

# PCR検査 とは、

 

 

便の中に含まれる 寄生虫や細菌、ウイルスの遺伝子(DNAなど)を検出する検査 です。

・ 比較的少量でも検出できる

・ 見た目では分からない細菌も特定できる

・ 「本当に原因になっている病原体」をはっきりさせられる

という大きなメリットがあります。

 

 

 

■ 「なんとなく怪しい」ではなく、

“犯人を特定する”ための検査 と考えていただくと分かりやすいです。

 

 

 

■ PCR検査の結果

 

1) クロストリジウム・パーフリンゲンス という細菌が腸内で悪さをしていることが分かりました。

 

 

2) この細菌は、健康な子でも少量は存在することがあるが、増えすぎると 血便や下痢の原因 になるという特徴があります。

 

 

 

 

◆◆ 治療とその後の経過

 

■ 検査結果をもとに、

クロストリジウム・パーフリンゲンスに適した抗生剤 を処方しました。

 

すると、

・ 血便は速やかに改善

・ 便の状態も安定

・ 抗生剤を休薬した後も 再発なしと、とても良好な経過をたどっています

 

 

 

■ 細菌のクロストリジウム属には、破傷風菌なども含まれますが、難治性の下痢が起こった時は、クロストリジウム・ディフィシル菌が要注意です。

 

 

 

■ このグループの菌には、芽胞という構造の中に『 トキシン(毒素) 』が入っていて、組織を痛める悪者です。

 

 

 

 

◆◆ まとめ

 

今回の症例では、

・ 通常の糞便検査では異常が見つからず

・ PCR検査を行ったことで、はじめて原因が特定できました。

 

 

 

◆◆ 『 何度も繰り返す下痢や血便 』には、

目に見えない細菌が関与していることも少なくありません。

 

 

 

■ 整腸剤で一時的に良くなるけれど、すぐに再発する消化器症状には、“原因をしっかり突き止める検査”がとても大切です。

 

 

 

■ PCR検査は『 本当に治すための一歩 』になることがあります。

 

 

 

■ 血便や下痢を繰り返している猫ちゃんは、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 土屋優希哉

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